22歳の男の濁った目

汚れた目から世界を見てます。

旅と放浪、

タイに行ってきた。


巨大魚を狙って

釣りをしたくらいの気持ちだったのだが。


自分なりにこの旅を整理していきたいが、

まずは、旅そのものについて考えてみたい。


退職したら海外を旅すると話していた友人から

出発前に


近代化を達成した後の日本社会にはアフリカだろうが南米だろうが情報があふれていて、それらの土地に旅立つだけではロマンチシズムは得られない。現代の出発は、閉塞して充実感を得られない日本社会からの戦略的な逃避でなければならない。


という村上龍の一節が

ラインで送られてきた。


戦略という大それたものなど

持ち合わせてはいないが


何らかの視点を持っていくかというのが

友人の解釈だった。


この旅に出る前、そして帰ってきてから

旅について考えている。



偉大な作家の中には

旅を愛した者が少なくない。


ヘミングウェイ

開高健

ブルース・チャトウィン



旅行と旅、旅と放浪。

全て似ているようで実際には異なる。


放浪の旅という言葉があるが

俺は放浪と旅は別物だと思う。


文化人類学者のフィールドワークと旅も異なる。


では、旅とは何か。


放浪とは何か。



もちろん明確な答えはない。

それは広辞苑に書かれているものではない。



金子光晴はわずかな費用でパリを目指し

帰国まで5年

放浪を続けた。


彼は詩で


かへらないことが、最善だよ。

それは放浪の哲学。



という言葉を残した。



一つには放浪と旅の違いは拠点の違いだ。

そして目的、目的地があるかの違いだ。


旅とはそこで得たものを持ち帰ること。

つまり帰る場所が前提として存在する。


対して、放浪はハナからそれを捨てている。


そして放浪には目的がない。

というよりは

ありのままを見て、見ること、感じることが

目的と言う方が正しいのかもしれない。


何かを見つけたい。

だが、その何かは分からない。

これは俺の考えでは放浪的だ。


自らが、白地のキャンパスとなって

歩き回るのだ。



旅とは何か。

それは虚構性によって構築される。


それが真理か、正しいか関係なく

そこに客観性は必要ないのだ。


自らが抱く虚構を確かめ歩くものが旅なのだ。


東南アジアの人はみんな笑顔、人が優しい!

という虚構を抱く者は

その虚構を確証すべく行動する。


(後日書きたいが、#笑顔が素敵系は大抵、観光地でお金をバンバン使うからという場合が多い。日々、日本で虐げられて愚痴っている資本主義を場所を移して金持ち側に回り、資本競争の勝利者側のロールプレイングを楽しんでいるのだ。

資産をばら撒く者には誰だって優しく、笑顔と紳士的態度を持ち、接するものだ。)



我々はその虚構性によって完成された

旅を旅行記として読んだり、映画として観る。


昨今、流行りのRUSや潜在意識として

これ片付けてしまうのは、

ロマンティックに欠けるので避けたい。


ただ、自らが打ち立てる理想や虚構のために

行動して、それを明らかにするのが旅だ。

その中では都合よく解釈が行われたり

不都合な事実は捻じ曲げられるかもしれない。


しかし、あなたが文化人類学者でなく

旅をしたいのなら

それで十分だろう。



タイのことは次から書いていきたい。


開高健


旅は男の船であり、港である。


と言った。


チャトウィンの紀行文に出てくるシェルパ


人間の本当の住処は家ではなく、道であり、

人生とは自分の足で歩くべき旅路である。


と言った。




旅の予定をギチギチに詰めたり、休みの予定を埋めないと不安になる人と仲良くなれない人間だが


あらかじめ旅には多少の虚構と対象は

必要となるだろう。


ここまで読んでくれた人は

これが決して

お城と写真を撮るとかいった

ものを指していないことは分かるはずだ。




旅ほど男をワクワクさせてくれるものはない。

だが自分も含めて、本当の旅をできている人は少ないだろう。





少なくとも自分の生き方に不満だらけで

何のために生きているのか分からないような人は

病院より先に

旅に出るべきだ。


旅とは安い物価に甘えて散財することで

資本競争の鬱憤を忘れるものでもなければ


日々のしがらみに拘束されるのが嫌になって

海外でギチギチにスケジューリングして

時間に追われる矛盾を創出するものではない。


鎖に縛りつけられた人間が

クロムハーツの鎖で自らを縛りつけ

それをSNSに写真をあげて

ラグジュアリーを演出したところで

三者から見たら

すべからく封印されしエグゾディア状態

にしか見えない。



旅先は居酒屋の延長でもなければ

質の高いクロムハーツの鎖で拘束してくれるようなものではない。


男諸君。

バーで女相手に人生を旅になぞらえた話をして

せっかくの酒を台無しにする前に

旅に出よう。



これは俺の言葉だ。